イラン〜アフガニスタンの国境付近で遊牧生活を営んでいたバルーチ族による、サドルバッグと言う馬の背中に掛けて使われた袋の表面です。縦約69㎝、横約71㎝です。前所有者様によると19世紀末に織られたアンティークとの事です。 上端のスリットに棒を通して壁飾りとしてお楽しみ頂けます。下記の通り傷みとスリットがありますので、床に敷いての使用はお勧めしません。Mia khai ミナハニ模様と呼ばれる白い花が特徴で、欧米のコレクターの中にはこの柄だけを蒐集する方もいる位、人気の柄です。フィールドには赤系の大きな花と白い小さな花を整然と配列し、外周を凝った柄のボーダーが幾重にも取り巻いています。若い(織られた年代が新しい)物になるにつれて大柄になり繊細さが失われていきますが、こちらは古い物ならではの細かな模様です。上下のスマック織(模様を織り出した平織り)も見事です。袋を閉じるためのスリットも保たれています。織組成が違う部分で歪みや変形が生じ易いのですが、こちらは非常に整っています。古い時代の合成染料が用いられているようで、裏側の赤は淡いオレンジに、小豆色は褐色に褪色しています。濃い褐色には磨り減りが目立ちますが、媒染剤に鉄が用いられているので磨耗と経年変化に弱いためです。古い物である証と言える初見です。写真１枚目は太陽光の下で撮影しました。より暖かみのある色合いに見えます。全てオリジナルの状態で修理の跡もありませんが、写真の通り傷みがあります。左右と上端は比較的良いのですが、下端は切りっぱなしで解れがあります。下端のパイル織とスマック織の境目は弱っており、右側から切れる可能性があります。切り離して多少のフサを作るように整える事もできますが、せっかくですのでオリジナルに近い形でご紹介させて頂きます。購入時はかなり汚れていましたので、ウール用洗剤で洗濯しました。個人的な感覚ではありますが、現状は頬ずり出来るくらい綺麗です。我が家では鑑賞のみで実用しておりません。オールド キリムから始まり、トライバル ラグ・部族系絨毯と言われる毛織物にはまり、オランダのディーラー様から譲り受けたものです。整理のための出品です。長い年月を経てきたなりの難がありますが、作成し使用してきた人々や歳月に思いを馳せつつ、現状のまま愛でて下さる方の購入をお待ちしております。